ラーメン界を支える人

東池袋大勝軒を支える精肉店 対談 前編


「当時は飯野さんの方が肉について
詳しかったですね。(笑)」

左:株式会社セブンフード専務取締役
木村隆彦氏

右:東池袋大勝軒本店 店主
飯野敏彦氏


東池袋大勝軒

つけ麺

株式会社セブンフード

苦しい引き継ぎ時代

今や全国にその名を知らない人はいないと言われている東池袋大勝軒。その本店の店主を務める飯野さんと 、その東池袋大勝軒を支える精肉卸売販売業のセブンフードの木村さんです。

お二人の出会いから、取引に至るまでの経緯をお話しいただきます。

進行

「まずはお二人が取引を始めることになったきっかけをお聞かせください。」

木村

「元々は父親が「ミート木村」という屋号で中板橋に店を開いたんです。すごい不景気で、食肉小売店自体が厳しくなってきている状態のときに、親父がケガをしてしまいまして。
私は店を継ぐ予定は無かったんですが、急遽どうにかならないかという話で、私が入りました。当然、右も左も分からない状態で食肉業界に飛び込んだのですが、何か突破口がないかな?と思っていたんです。」

飯野

「それは何歳くらいの話なんですか?

木村

「23歳くらいの時ですね。」

進行 「それで飛び込み営業を始めたというわけですね。」
木村 「まずは新規のお客さんを増やそうと思ったわけです。自分でワープロを駆使して見積りを作って、毎日新規開拓のための飛び込みをしていたんです。」
進行 「最初はラーメン店に限らず、「ここは肉を使うんじゃないか?」ということでやっていたわけですか?」
木村 「何にも知りませんでしたからね。みんなが知っている「バラ」や「豚正(とんしょう=モモ肉)」という名前ですら知らないレベルですから。」

飯野さんとの出会い

進行 「飯野さんと出会ったのはその頃ですか?」
木村

「そうですね。一回目にご挨拶させていただき、二回目に訪問させていただき、手ごたえを感 じました。最初は鶏ガラだったんですよね?」

飯野 「あんま覚えていないなぁ・・・。(笑)あっ、でも、飛び込んできた時に、結構親身で一生懸命だな、という印象は残ってます。その後、価格表を頂いて、まぁまぁ安いなぁと。最初からこの金額ならもっと安くしてくれるんじゃないかな、というのが始まりですかね。」
進行 「どんな会話だった覚えてますか?」
木村 「最初は、鶏ガラのセットだったんです。私にとって最初のラーメン専門店のお客さんだったので、鮮明に覚えています。単価まで覚えています。全部の合計金額が840円だったんですよ。(笑)。」
進行 「鶏ガラは意外と安いですもんね。」
木村 「毎日言葉を交わしていくうちに、やれ肩ロースはこういうのないの、とかモモは、というような形で宿題を頂いて、それに答える形で飯野さんに提案させていただいたんです。そうしたらだんだん取引量が増えてきて。」
進行 「飯野さんのところはどうでしたか? 」
飯野 「最初のオープンのときはどーんといって、そこから徐々に3ヶ月くらい下って、本腰入れないとまずいな、と思い始めた頃なんですよね、木村さんが来たのが。オープンして1~2年くらいですね。マスコミに出るようになったのは2~3年経ってからなんですよ。」
進行 「じゃぁ、飯野さん自身も結構苦しいときがあったわけですね。」
飯野 「そうですね。夜中の3時まで店をやっていましたからね。」
木村 「すごい朝早かったですし、夜も遅かったじゃないですか。そういうお客さんの姿を見て勇気付けられて、時間を惜しまずにやるスタイルというのに同じ商人として、共感するものがありました。」
進行 「その頃の宿題とはどんな感じだったのですか?」
飯野 「ゲンコツが違うとか、鶏のカットの仕方が違うとか、ゲンコツは大腿骨だけでいいとか、ここはダメとか。」
進行 「その当時はそういう宿題に対してどんな風に思ってましたか?」
木村 「今だから言えるのですが、当時は商いも小さいですし、いい素材を他店よりも優先的に得られるというのが至難の業だったんですよ。我々もお客さんのためにいいものだけを 仕入れたい。例えばゲンコツだったら髄のいっぱい詰まっている太いところだけを仕入れたい、と思うわけですよ。それを市場とか商社とかに問い合わせても、まともに相手にしてくれないんですよ。」
飯野 「ゲンコツに関しては結構これ嫌だ、あれ嫌だ、というような話が長い時間あったからね。もうちょっと髄が入っているやつが欲しいだとか。」

限定メニューとこだわり

進行 「飯野さんのところはよく一日限定メニューをやってますが、その頃は限定はやっていなかったのでしょうか。」
(注:飯野さんが滝野川大勝軒店主時代のお話)
飯野 「今まで100数回やっているから、オープン3~4年後くらいじゃないでしょうか。」
進行 「当然、限定をやると、その日のための特別な材料とかも必要ですよね。」
飯野 「そうですね。その日1日のために丼も変えてやってますから、自分としても勉強になりましたね。こういったものを作りたいな、と思ってそれに近づいたりすると嬉しいですし、逆に反省するところもあって、そんなお客さんとのやりとりも楽しいです。」
進行 「でも、業者さんとしては大変ですよね。その日のためにその日用の食材を用意しなければならないし。」
飯野 「そうなんですよね。結構無理言っている部分もありますから。前もって言っておかないと入らないですから。1~2ヶ月かかるものもあるし。」
進行 「そんなにかかるものもあるんですか?」
飯野 「鴨なんかはね。あとは発注したのに使い切れなかったり。」
木村 「そういうのはこの業界にはよくあることなので。例えばいろんな産地の鶏ですとか、豚もそうですし。」
飯野 「名古屋コーチン使ったり、比内地鶏を使ったり・・・。」
進行 「今はラーメン屋さんもこだわりが増えましたからねぇ。」
木村 「そうですよね。だから宿題を頂いて、自ら食べてみて、これがラーメン屋さんにウケるだろうか、というのを自分なりに見極めてました。逆に飯野さんから頂いた宿題の商品価値を調べて、自分達に今後使える主力商品かどうかをピックアップして、 商品リストに挙げるということもあるのでとても勉強になっています。」
進行 「セブンフードさんにしてみれば、お客さんの新規の開拓もしながら、仕入先の新規開拓もしなければならないわけですよね。」
木村 「当然ながら、もうとどまることが無く、一生開拓、一生勉強ですね。絶えず新しいものとか、他店に無いものとか、差別化を計っていくためにはもう勉強しかないですね。」

ラーメン専門店の肉屋誕生

進行 「今はほぼラーメン店専門でなんすか?」
木村 「そうですね。エンドユーザーさんでの業務では90%以上がラーメン専門店ですね。」
進行 「引き継いでから少しずつシェアを変えていき、今はもう完全にラーメン専門ということですね。」
木村 「23~25歳くらいまでは方向性に悩んで焼肉屋さんにあたってみたり、フレンチに納めたりとか、色々やったのですが、幅広くやっても結局在庫だけが増えてきてダメなんですよ。だから、2~3回失敗しましたね。」
進行 「絞るという点では、例えば洋食に絞るとか焼肉に絞るという方法論もあったと思うんですよね。そうした中でラーメンに絞ったというのは何か理由があるのですか?」
木村 木「私自身、ラーメンが好きだったということと、飯野さんと知り合ってラーメンの見解が広がったというのがありました。当時は飯野さんの方が肉について詳しかったですね。(笑)」
進行 「もしかしてそこで知り合っていなかったら焼肉専門になっていたかもしれない?」
木村 「そうですね。ありえます。(笑) 」
株式会社セブンフード
住所 東京都板橋区前野町2-1-2  セブンビル1F
電話番号 03-3965-6306
URL http://sevenfood.net
E-mail info@sevenfood.net
東池袋大勝軒
住所 東京都豊島区南池袋2-42-8
電話番号 03-3981-9360
URL http://www.tai-sho-ken.com/


≪この続きは1月「東池袋大勝軒を支える精肉店 対談」更新の後編で≫



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